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結婚後、会社員から主婦になるもどうにも飽き足らないので、自力で稼いでごきげんになることにしました。インコ飼いで米津さんが好き。(アフィリエイト広告を利用しています)

「「ちゃぶ台返し」のススメ 運命を変えるための5つのステップ」を読んでみた

「「ちゃぶ台返し」のススメ 運命を変えるための5つのステップ」(ジャック・アタリ 著、橘 明美 訳/飛鳥新社)を読みました。

 

「ちゃぶ台返し」のススメ

 

本屋の棚で目にしたときは


え? ジャック・アタリ ちゃぶ台? 自己啓発本? ええ


と軽く混乱して手に取りましたが、ぇえーっと、このタイトルは、多分、日本語版を作る際に誰か(編集者?)がマーケティング目的でつけたものだと思われます。

 

別に、本文中でジャックがちゃぶ台をひっくり返したりはしません
「ちゃぶ台をひっくり返す」という表現は本文中1箇所しか出てこないし。

 

著者のジャック・アタリは”知の巨人”といってもいいような人で、政権に提言しちゃうような経済学者の方です。
最近だとこんな記事もあります(東洋経済オンラインにリンクします)

 

そんなジャックがちゃぶ台ひっくり返したりしないわよ、そりゃ。
で、ジャックはフランス人なので、フランス語原題はなんなんだと思い、裏表紙にあった ”Devenir soi” を調べたら ”自分自身になる(Become myself)” みたいな意味のようです(違ってたらすいません)。

 

 まぁ分かりやすい。
でもこのタイトルじゃ日本では売れないと誰かが判断したのでしょうね。

 

***

 

肝心の内容ですが、そんなに難しくなく読みやすいです。
が、第二部と第三部は「自己啓発本」としては、飛ばしてもいいかもしれない。アタリ氏の著作らしいとは思いますが。

 

第一部は、今後の世界全体が”どんどん悪くなるよ”というツカミ(というか、煽りというか)の内容。
悪魔のシナリオといった感じで、技術革新や各国間の緊張状態や巨大企業の行動についての”最悪のシナリオ”が紹介されています。1周まわって笑っちゃうくらいの最悪さ!

 

気候変動や政変・紛争などで十億人を超える難民が生まれると予想されるが、その人々の受け入れ先があるとも思えない。

 

新たな感染症が次々と出現し(中略)、人々の移動の増加によって蔓延速度も増していく。

 

至るところで国家が解体されていくだろう。

 

治安のいい国でも、地下経済が市民生活に徐々に影を落とし、国の活動を邪魔し、骨抜きにしていくだろう。


第一部 甘受する世界 より抜粋

 
ちょっと抜粋しただけでこの有様。

 

ジャック、どうしたの?

と言いたくなるような、悪い予想のオンパレードです。
このような時代だから、
 自分の人生の傍観者 → <甘受者=要求者> 
ではなく、
 自分の手で自身の人生を掴み取る → <自分になる> 
ことが必要だと述べています。

 

第二部は、宗教革命が起こったり疫病も蔓延していて現代よりも悲惨だった15世紀のヨッローパから現代にかけて、自分で人生を切り開いた人たちが羅列してあります。
著名な芸術家や起業家からそうでもない人まで、実在の人たちの事例集です。

 

第三部は、自分で人生を切り開くことを思想家や宗教がどのように考えてきたのかという、マクロな視点での思想史が示されます。

 

で、「じゃあどうすりゃいいのよ。」への具体的な回答は第四部なので、

 

ではどうすればいいのかすぐに知りたいという読者は、第一部ののち直接第四部を読んでいただき、その後第二部の事例集、第三部の歴史、という具合に進んでいただいてもいいだろう。
序論

って、ジャック本人も言っています!

 

私は、第三部の思想史が興味深く、アタリ氏の頭の中を少し見せてもらったような気がしてお得な感じがしました。
自己啓発本としてはいらない内容だけど、”特別付録:自由や幸せに関する世界思想史” みたいなもんだと思えばおトクですよ。

 

第四部の具体的な方法(五つのステップ)は、やはり他の自己啓発本と似たような内容なので既視感も少しありますが、気に入ったのは

 

周囲から期待されていることをあえてしないとか、自分の成功失敗を人から押しつけられた価値基準で判断しないとか、ほかの人のほうがもっとうまくやれるような仕事には就かないとか、ほかに例がないことだけをやってみるとか、自分にしかできないことや自分がもっている能力を積極的に探すといったこともできるようになる。
第四部 <自分になる>ための五つのステップ

という箇所。

 

そうそう、私がやりたいことはこういうこと!!
ジャックがこれらを「本来望むべき姿」として書いてくれているのはこころ強い。しかもほかの箇所で年齢は関係ないとも述べているし。

 

第四部の五つのステップは、ざっくり言うと

  1. (自分の本質的な姿から)阻害されていることを認識する
  2. 自分を尊重すること
  3. 孤独を自覚すること(他者に何も期待しない)
  4. 唯一性を自覚する
  5. 自分で人生の選択をする

といったものですが、「阻害」とか「孤独」といった言葉に自立心旺盛なフランス人らしさも感じつつ、私もがんばるよ!という気分になれます。

 

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