「あなたの中の異常心理」(岡田 尊司 著/幻冬舎新書)を読みました。
右下の角が切れているのは無視してー!
タイトル通り異常心理といわれる状態についての本です。
著者は精神科医で横溝賞*をとった作家でもある方です。
* 横溝賞(横溝正史賞)・・・現:横溝正史ミステリ大賞
若干の怖いもの見たさもあって手に取りました。
筆者いわく
異常心理は誰にでもあり、普通の人と異常者の違いはその程度の差である
と述べています。この考えは同意です。完璧な人なんでいないでしょうから。
で、これを説明するのに実際の事件の加害者・被害者や著名人(作家や学者、芸術家など)、また筆者が実際にカウンセリングした人たちを例にだして、その人の生い立ちや環境が本人の性格にどんな影響を与えたのかを丹念に説明しています。
この各エピソードが面白い。
三島由紀夫、夏目漱石、ヘミングウェイ、ニーチェ、サド侯爵などの著名人の生い立ち等は、それぞれの著作を思い出しながら読むと感慨深いものがあります。
知らなかったこともたくさん。 (三島由紀夫の祖母が強烈で、実母からほとんど取り上げるようにして三島を溺愛したとか)
東電OL殺人事件(wikipediaにリンクします)の被害者が被害に会うまでの状況もかなり詳しくのっています。 他にも、実際に事件を起こしてしまった「異常」な人たちが、なぜ「異常」な状態になってしまったかを丁寧に解説しています。
そして、今異常ではない人たちにも同じような異常心理のモトがあるから気をつけろという話もあります。
異常心理のモトとして例示されている話も、普通の人にも当てはまってしまうものもあり、「普通の人と異常者の違いはその程度の差である」という筆者の主張に納得せざるをえません。
幼児期の嗜虐性、支配性向、溺愛されたことによるゆがんだ自己愛(誇大自己)、母親の愛情が得られないことからの女性憎悪 等々。
生まれた環境は自分では選べないですが、もし生きづらさがあるならこういう本で自分の内面をじっくり見つめてみるのも必要かもしれません。
誰でも多かれ少なかれ「ちょっとオカシイ」心は持ち合わせているので。
そのヘンテコな心が大きくなりすぎると、本来の自分が異常心理に取り込まれてしまうのかもしれません。気をつけよう。。。
Kindle版もあります。
>主にアイデンティティや心に関する本について。読んでみた の記事一覧